史跡や寺院、滝の名所など魅力あるスポットが町のいたるところに点在する高知県奈半利町。稲作や施設園芸のナス・スイカなどの栽培に力を入れる町です。
2020年7月、総務省は奈半利町をふるさと納税制度から除外することを正式決定しました。
今後2年間、奈半利町はふるさと納税制度に参加できない自治体となりました。
制度除外までの経緯を、時系列と共に解説します。
【奈半利町のふるさと納税】総務省による制度除外までの経緯と返礼品を解説
アーカイブ奈半利町のふるさと納税 制度除外までの経緯
2018年11月~2019年7月:元課長補佐の口座に現金約9,300万円が振り込まれる
奈半利町の元地方創生課長補佐が、合計約9,300万円の賄賂を受け取っていた疑いです。
返礼品を取り扱う2業者に、豚肉の仕入れや加工委託先として叔父夫婦の精肉店を指定。
便宜を図った見返りに精肉店から2018年11月~19年7月、元課長補佐が管理する二つの金融機関口座に現金を振り込ませたとしています。
参考:毎日新聞
2019年4月:奈半利町が国に虚偽の報告を行う
2019年4月に奈半利町が国に提出していた申出書で、ほぼすべての返礼品の調達費を実際より低く申告していたことが判明しました。
申出書には上位100品目の返礼率(寄付額に対する返礼品調達費の割合)がすべて国の基準内の30%だったと記載していましたが、実際はそのうち97品目が30%を超え、中には192%のものもありました。
奈半利町への寄附額の9割近くが「返礼品費用」に
奈半利町は2008年度からの12年間で計117億6千万円の寄付を集めました。
一方、町の資料を分析すると、費用は判明分だけでも計101億4千万円で、寄付額の86・2%を占めています。
費用は、返礼品の調達や加工などに対して業者に支払った「調達費」が61億6千万円、ポータルサイトの「手数料」や「人件費」が39億8千万円。寄付金総額の半分が、調達費として納入業者らに流れた計算になります。
参考:朝日新聞
2019年10月~2020年3月:新制度の施行後も違反を繰り返す
2019年10月にふるさと納税は新制度が施行され「返礼品の調達割合を3割以下とすること」「返礼品は地場産品に限ること」が定められました。
一方で奈半利町は、2019年10月~2020年3月までの間、ふるさと納税の寄付額の30%を超す返礼品が5品、町外で生産・加工したにもかかわらず町内産と偽ったのが40品、30%を超え、なおかつ町外産が6品―の計51の返礼品が基準に違反していたようです。
2020年3月~5月:ふるさと納税担当課長、課長補佐、親族を逮捕
ふるさと納税担当課長と課長補佐、親族の計5人が県警に逮捕されました。
返礼品に関連した賄賂に加えて、親族を返礼品業者で働かせていることを隠すため、不正に住民票を町外に移していたことも判明しています。
2020年7月 ふるさと納税制度からの除外が決定
総務省は、2019年10月以降も奈半利町が基準に違反した返礼品を提供していたことを受け、ふるさと納税制度からの除外を決定しました。
今後2年間は制度から除外される予定で、2022年に再度審査を受け、復活可否を判断されることになる見込みです。
奈半利町長は「2年後に向けて十分な体制作りに取り組みたい」と述べています。
※一方で2019年に制度除外になった泉佐野など4自治体は、2020年6月~7月にかけて復活が決定しました。
経緯や詳細を知りたい方は、以下の特集をご覧ください。
奈半利町の返礼品 提供が期待される特産品
奈半利町の特産品には、マグロ、カツオ、金目鯛や、塩干物などの水産加工品があります。
また、いちぢく・やまもも・スイカといったフルーツの生産も盛んです。
五つ星お米マイスターお墨付きの、奈半利の農家が生産した自慢のお米や、さわやかな甘みとしっかりとした果肉が特徴の土佐文旦、標高400mで飼育された米ヶ岡産の地鶏なども人気の特産品です。
2022年以降に制度復活した場合、地場産品として返礼品としての提供が期待されます。
奈半利町のふるさと納税 利用者の評判
奈半利町に寄付した人の口コミを調べてみると、「返礼品が届かない」「対応は最悪」「二度と頼まない」など辛辣なレビューが多見されます。
復活の際は、返礼品だけでなく関係者の対応が改善されている可能性もあるでしょう。
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奈半利町のふるさと納税は当面の間申し込むことができなくなりましたが、他自治体からお得な返礼品は多数提供されています。
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